ハサミを使ったカットに目が向きがちですが、トリミングには様々な工程があります。トリミングの技術を上げるには、とにかく繰り返しの実習を行う事が最も重要となります。
IPCでは、その方の進捗に沿って着実にステップアップ出来る実習スタイルで、各工程を確実に習得していきます。
トリマーは「早く」「綺麗」を両立しなければなりません。これを成し遂げるには、生体を使った実習を繰り返すのが、一番の近道です。当校では、わんわん動物園を含めたIPCグループの飼育犬に加え、年間14,000頭を超えるカットモデル犬(お客様にご提供頂く実習犬)を有し、様々な犬種にて実習を行えます。
道具の説明
トリマーの仕事は様々な道具を使います。各道具の用途と、道具の使い方を正しく学び実践に活かして行きましょう。例えばハサミについては動刃と静刃を90度にしっかり開き、基本に基づき親指だけを動かす技術を学びます。
爪切り・耳掃除
犬の爪には人間と違い血管が入っています。これを傷つけないように慎重に長さを整えます。耳掃除が苦手な犬も多く飼い主さんが上手くケア出来ないケースもみられます。デリケートな部分になりますので、イヤーローションなどを使い施術します。
ブラッシング
猫と違って犬は体の一部しか毛づくろいできません。
被毛のもつれをスリッカーブラシなどでほどき、トリミングしやすい状態にしていきます。この時に皮膚の状態を観察し、施術する犬の皮膚異常などにも注意しましょう。
ハサミの練習
皆さんは普段ハサミを使う時は親指とほかの指を同時に動かしていると思います。トリマーはハサミを開閉するときに親指しか動かしません。ご家庭のハサミでやってみるとその大変さが伝わると思います。でも大丈夫、繰り返しの練習を行うことで自然に動かせるようになります。
ウィッグカット
犬の毛に見立てた模型の事を「ウィッグ」と言います。
そのウィッグで本物の犬をカットする前の事前練習を行います。まずはこのウィッグを使い、仮想の犬としてカットの練習をします。ハサミの動かし方、トリミング時の立ち位置の確認をシミュレーションします。
ベイシング
一般に「入浴」する事を意味します。お風呂の事です。犬の体の汚れ、臭いなどをシャンプーで落とし、リンスで整えます。ステンレス製の犬専用バスタブの中で行います。カットをする前にこのベイシングをきちんとすることで、その後のカットや仕上がりが変わる大事な工程です。
ドライング
シャンプーを終えた犬を、ドライヤーとスリッカーブラシを使い乾かします。ここで重要なのが「根元から」「被毛を伸ばすように」です。不慣れな方は、表面は乾いていても根元が湿っていたり、乾いてはいるが被毛が絡まっていることがあります。上記の2点に気を付けて行いましょう。
肛門腺絞り
肛門腺は犬の肛門の左右にある分泌液が溜まる袋の事。定期的に絞ってあげないと、便の臭いが強くなり、さらに肛門嚢炎や肛門腺破裂といった病気を引き起こす可能性もあります。分泌液は悪臭な為、シャンプー時にしっかりと絞るのもトリマーの仕事の一つです。
クリッパー
クリッパー(バリカン)を使って犬の胴体や足回りの毛を刈り込んでいきます。犬は足先の指の間の被毛も伸びてきます。伸びた毛が肉球に掛かると滑ったりして危険です。クリッパーを使い、指の間など細かな部分も仕上げられるように技術を磨きます。
部分カット
ハサミを使ったカットを行います。いままで身に着けた技術を意識し、顔周りやお尻回りなどのカットを行います。美容で使うハサミは刃物です。使い方を誤ると簡単に生体を傷つけてしまいますので、慣れてきても緊張感をもって施術を行いましょう。
全身カット
一頭を最後まで仕上げていきます。初めは時間がかかるかもしれませんが、焦らずに正確に施術しましょう。繰り返し行うことで作業のスピードも上がり、仕上がりもキレイになります。1頭でも多くの犬で実習を行うことが上達の秘訣です。
ペットエステ
リラクゼーションを兼ねた美容術であり、ペットの健康維持と健康促進を目的としたトータルビューティーケアとなります。ペットエステの施術を行うサロンも増え、トリミングのスタンダードメニューになりつつあります。
スピードトリミング
すべての犬たちに「体に優しいトリミング」を実施する為の技術です。犬にとって、トリミングの作業は楽しいものではありません。ストレスを緩和し、トリミングの効率化を図るのを目的にしていきます。作業時間を短縮する事により、老犬への体への負担軽減にも役立ちます。
時間短縮練習
全身カットをさらに早く・正確に行えるように繰り返し実習を重ねます。プロには1日に複数頭数の施術が出来るスピードが不可欠です。犬も1頭1頭性格が違いますし、トリミングが苦手な子もいるでしょう。どんな犬でも対応できるスキルを身につけましょう。
多犬種カット・時間短縮
多くの犬種や大型犬などのトリミングを行い、トリマーとしての引き出しを増やしましょう。同時に時間短縮も目指します。スピードトリミングなどの技術も駆使して、実習を繰り返しましょう。ここまで来ればプロトリマーも目の前です。
欠点を補う
お客様の犬のボディバランスにより、欠点をカットで補うのもプロの技術です。例えば顔の大きな犬には顔のカットを短めにし輪郭を小さく見せます。足が長い子はおなかの毛を長めに、短い子は短めにカットするなどし、全体のバランスを調整します。
教える事を学ぶ
サロンのオーナーになれば、人材を育てる為、従業員にトリミング技術を教える場面も出て来ます。1年目、2年目の生徒に教える事で、人に技術を教えるスキルを学んでいきます。
デザインカット
アフロカット、モヒカンカット、アルパカカット、ライオンカット……。そんな様々なオーダーにお応えする確かな技術が必要です。飼い主様に満足して頂けるスタイリングを目指しましょう。